お話しいただいた方
東京海上ホールディングス株式会社 人事部グループ人材戦略室
アシスタントマネージャー 水原 彩 様(写真中央)
東京海上日動火災保険株式会社 グローバルリスクマネジメント本部
コンプライアンス・リーダー 曽根 忠陽 様(写真右)
東京海上アセットマネジメント株式会社 人事部
課長 須貝 紗妃 様(写真左)
日新火災海上保険株式会社 人事企画部 DE&I推進グループ
課長代理 山田 薫 様(写真中央左)
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 IT企画部IT推進グループ
シニアアソシエイト 木戸 あゆみ 様(写真中央右)
東京海上グループ
東京海上グループは、社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる環境づくりの一環として、LGBTQ+のERG(Employee Resource Group)活動をおこなっています。企業のLGBTQ+施策を評価する「PRIDE指標」では、東京海上ホールディングス株式会社が2年連続、東京海上日動火災保険株式会社が4年連続でゴールド認定を獲得しました。アライシップを高めながらLGBTQ+の理解浸透、インクルーシブな企業カルチャーの醸成に取り組んでいます。
東京海上グループは、保険事業を中心とした金融機関企業グループです。東京海上日動火災をはじめ、事業会社である各社がグループに所属しています。
世の中が多様化する中で、お客様や社会に持続的に価値を提供していくためには、さまざまな価値観やバックグラウンドへの理解を持った企業であることが必要と考えています。そのためにも社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる環境づくりに向けて、DE&Iを推進しており、Diversity(多様性)を尊重するというだけではなく、いわゆるBelonging(帰属意識)も重要だと捉えています。まさに「この会社に貢献したい」「この会社に自分は所属しているんだ」というBelongingの気持ちを持てる職場づくりの一環として、ERG活動に取り組んでいます。
2024年6月に、Pride Monthをきっかけとして、当事者の方をお招きしたトークセッションを行い、グループに所属する各社から300名ほどの参加者が集いました。イベント後に回収したアンケートでは、「こういったインプットや学びを得る機会がもっとほしい」というコメントが多くあり、驚きと嬉しさがあったことを覚えています。
こうした社内での動きを契機にLGBTQ+をテーマとしたERG活動を始め、2024年度に40名ほどの有志社員とともにPride ERGを立ち上げました。グループ各社の垣根を超え、現在は80名ほどが在籍し活動しています。
発足当初に比べ年々、グループ内でPride ERGへの認知度は高まり、アライシップ(支援)の広がりを実感する一方で、ERGの所属人数にこだわりすぎないようにと心がけています。重要なことは、このERGに所属しているメンバーが、それぞれ学びや気づきを持ち帰り、いかに自分の会社や部署に広げてくれるかだと考えています。こうした伝播が、グループにおける更なるモメンタムの向上に繋がればと考えています。
ERG発足の初年度は、先ほど申し上げたトークセッションの開催に加え、グループ共通のレインボーブックレットを作成しました。社外有識者の方にも監修いただき、知識やアライシップなどの基礎知識に加え、具体的なコミュニケーション事例や当事者の想いなど、内容を単元ごとにまとめた冊子を作りました。
グループに所属する社員の誰もが参加できる、社員参加型のトークセッションは今後も継続的に開催していきたいと考えています。直近では、「普通とはなにか」というそれぞれの価値観に改めて向き合い、心理的安全性の高い職場について考えるトークセッションを行いました。当事者の方のお話も聞きながら、LGBTQ+を特定の人だけのテーマとするのではなく、誰にとっても身近なテーマとして捉える機会を提供しています。
ブックレットを作成した経験から、2年目も何か作れたらいいとメンバー間で話し合っていました。ブックレットが読み物だったので、「次は映像コンテンツがよいのではないか」というアイディアが出て、管理職向け学習ビデオの制作を行いました。台本や演出、出演者などすべて自分たちで作りこんでから、有識者にも表現を確認していただき、実際の職場でのコミュニケーションに照らし、良い例・好ましくない例をまとめています。この動画は各社内においていつでも見ることができ、研修にも活用されています。
また、昨年度に引き続き、2026年度も東京海上グループとしてTokyo Prideへ出展しました。来場者向けに、グループの事業やLGBTQ+に関するクイズを出題したほか、ニーズボードを活用し「東京海上グループに期待すること」について多くの方よりご意見を頂きました。当日私はクイズを担当していたのですが、印象に残ったのは「LGBTQ+当事者の方は何%程度いるか知っていますか」という質問について、想像していたよりもご存知ない方が多くいらっしゃったことです。LGBTQ+について学ぶはじめの一歩として、こういった情報発信が大切だと改めて実感しました。
アライシップを日常の中で可視化する取組として、グループ共通のアライステッカーを制作しました。メンバーが発案し、デザインや配布ルールもERGメンバーで話し合って、5種類のシールを作って展開しています。ただ全員に配るのではなく、ステッカーの意義を理解した上でアライ(支援者)だと表明する人に配るというルールのもと、社内で活動の輪を広げています。
1つ目は、「社員主導のERG活動」をいかに実現していくかということです。毎年新しくERGに入るメンバーがいて、メンバーの年代や社歴も多様な中で、どのように一体感を高め、どのように社員の想いを形にするかというのは、まさに今直面しているチャレンジです。例えば、これまでは私が毎回のミーティングをファシリテートしていますが、次年度からは輪番でERGメンバーがその役割を担うことも検討しています。
2つ目は、ERG活動を通じて、実際の課題をどのように解消していくかということです。知識やコミュニケーションのNG例は習得したものの、いざどのように行動に移していくかは、まだ曖昧に捉えている社員も多いと思います。ERGメンバーを含め、社員の行動変容をどのように促していくかも、今後のチャレンジだと感じます。
ERGでの学びを自社に持ち帰っても、なかなかうまく展開できていない点が課題です。少しずつLGBTQ+関連の施策を推進しているのですが、DE&I担当者として、浸透に余地があるような感覚があります。せっかくの良い取組を、自社でどのように広げていくかという点が私の直近の課題です。
私たちERGメンバーが、気づきや学びを各社に持ち帰って伝播するというのは、まだ難しい側面もあります。例えば、私のように人事部の立場で情報発信するというのは比較的容易くても、ERGメンバーそれぞれの職場で話題に取り上げてもらうには、勇気や牽引力も必要です。こうした点はどのように解決していけるかを考えながら、取り組んでいきたいです。
私は人事部からの案内をきっかけにERGに参加しました。一方で周囲に確認すると、このERGについてまだ十分に知らない社員も多いように思います。より多くの社員に意義を知ってもらい、興味を持ってもらえるよう、社内への発信方法やアプローチを工夫し、ERGの輪を広げていきたいです。
Tokyo Prideで、「東京海上グループのような会社も出展するのですね」というお声を多く頂きました。保険とPrideとの結びつきがイメージされにくいかもしれませんが、例えば東京海上日動の自動車保険では、同性のパートナーを記名被保険者(補償を受ける対象)に設定することができます。Tokyo Prideへの出展やこのような取材などの機会を通じて、東京海上グループがPrideフレンドリーであるということを発信することで、社会やお客様の安心に繋がればと願っています。
自分自身としてERGに加わってよかったなと思うのは、例えば当事者の方と接する時に、特別視することなく、自然と“その人自身”としてフラットに見られるようになったことです。またERG活動をしているからといって、誰かの意見に対して「こうあるべき」「こうした方がいい」などと返すのではなく、これからもその人らしい考えというものを見守っていけたら良いと思っています。
社会においてアライシップの高い人もいれば、まだそうではない人もいると思います。グループにおいて実現させたいビジョンというのは、あらゆる社員が、持てる力を最大限に発揮できる環境をつくるということです。そのために一人ひとりが多様性やLGBTQ+というテーマについて身近に捉えることが、目指すビジョンに近づく鍵だと思っています。
社員が主導となって、PrideをテーマとしたERG活動がおこなわれていることは、国内で非常に先進的だと感じます。自発的な企画やERGの運用など、皆さんが目標を持って生き生きと活動されているのが印象に残りました。グループ各社の垣根を超えたコミュニティとして、今後もアライの輪を広げていってほしいと思います。
東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております