TOP 事例紹介 ファッションの力で、
違いを認め合う社会をつくる

ファッションの力で、
違いを認め合う社会をつくる

お話しいただいた方

株式会社ZOZO

CI本部 ソーシャルフレンドシップ部
FFYブロック ブロック長
篠田 ますみ 様(写真右)

コミュニケーションデザイン本部 コミュニケーションデザイン部
サステナビリティ推進ブロック ブロック長
改正 菜摘 様(写真左)

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卸売業・小売業

株式会社ZOZO

ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZO(以下ZOZO)は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を企業理念として、すべての人が自分らしく笑顔で生きられる職場や地域の実現をかかげてDE&Iの推進をしています。それぞれの個性や多様性を尊重し、若い世代や社会に向けて発信する取り組みについて伺いました。

「みんな違うけど、みんな一緒」。個性を当たり前に

――  会社の概要について教えてください。

改正

ZOZOはファッションEC「ZOZOTOWN」、ファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」をはじめ、身体計測技術を活用した「ZOZOSUIT」、「ZOZOMAT」、「ZOZOGLASS」など、ファッションとテクノロジーを融合させた様々なサービスを展開しております。
企業風土の特徴としては、ファッションが好きな社員が多いためいろいろなファッションスタイルの人がいますし、一人ひとりの個性の大切さについては理解が広く浸透していると感じています。
また、特徴的な点として社内で「あだ名文化」があり、社員がそれぞれ呼んでほしい名前で呼び合っています。このあだ名文化によって、自身のアイデンティティを持ちつつ、役職や年齢にとらわれない風通しのよい環境になっていると思います。
さらにZOZOでは名刺を作成する際、ロゴマークに使用する色を自分で選択することができ、この色の組み合わせは他の社員誰一人とも同じにならないようになっています。また、ZOZOのロゴで使用されている〇△□はすべて同じ面積になっており、このロゴマークにこめられた「みんな違うけど、みんな一緒」という思いが、個人を尊重する自由な社風にも反映されています。

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――  LGBTフレンドリーについて取り組むきっかけとなったことは何ですか?

篠田

はじめはLGBTQ+についてなにか施策を始めようと取り組んだわけではありませんでした。
私は比較的社歴が長いので、その分社員がいろいろなライフステージを経験していくのを見てきました。その経験から、より働きやすい環境にするため出産に伴う時短勤務制度も新しいものに変えていきたいと思い、上司に相談するうち「家族とはなんだろう」という話になりました。ペットは家族なのか、同性パートナーはもちろん含まれるだろう、そういった議論をしていくなかで「家族」の定義を広くとらえ直していきました。結果的に、社員が家族だと認識する人であれば誰でも使うことができる「家族時短」という制度を導入したことが、LGBTQ+について考えるひとつのきっかけとなりました。

インタビュー画像2
インタビュー画像2

若い世代に向けたポジティブな発信をしていく

――   LGBTフレンドリーについて具体的にどのような取り組みをしていますか?

篠田

社内制度としては、婚姻と同等にパートナーシップ宣誓等の書類があれば慶弔お祝い金の支給、および休暇の取得ができるようになっています。
社外に向けた施策としては、今年6月に初めて「えほんカフェ」を開催しました。
本社敷地内にある、一般の方も利用できるカフェの一角に「多様な性の考え方」をテーマにした絵本を展示して、カフェを訪れた方やそのお子さんなどに手にとっていただいたり、多様な性のファッション表現をテーマにした紙芝居の実演をしたりなどの取り組みを通じて、親子で多様性について考えるきっかけとなったのではないかと思っています。

インタビュー画像3
改正

LGBTQ+当事者の方々がファッションを楽しむには、依然として多くの障壁があります。そこで、今年初めて開催されたYouth世代向けのプライドイベント「Youth Pride」の企画のひとつとして、GIVENCHY BEAUTYさんと共同でLGBTQ+当事者3名に対して「なりたい自分」を叶えるスタイリングとヘアメイクを行いました。「niaulab by ZOZO(似合うラボ)」(※)のパーソナルスタイリング体験を通じて、新たな魅力を引き出し、自信を持つきっかけにすることができたのではと感じています。

(※)2025年7月31日サービス終了

――  取り組みを実現するうえで、困難なことはありましたか?また、それをどのように克服しましたか?

改正

パーソナルスタイリング体験においては、スタイリングを受けられる当事者の方の表面的な雰囲気に似合うというだけではなく、その裏にこめられた思いをいかにくみ取るかが重要なところだったと感じています。
自分から話しづらいような内面の部分に寄り添うことが必要とされました。そのため、事前にLGBTQ+支援を行うNPO法人の講師による研修を受講し、アパレル等の接客業において「女性らしくて素敵ですね」のような何気ない声かけにもアンコンシャス・バイアスがあるということを改めて学びました。当事者の方に「アライ(理解者・支援者)である」と示した上で向き合うことで、よりよい信頼関係を築くことができたと思います。

――  取り組みの結果、社員(または顧客)の反応はいかがでしたか?

篠田

えほんカフェについては、来場者に書いていただいた感想カードのなかでも「考えるきっかけになる素敵なイベントでした」、というようなコメントをいただきました。幼いころから個性や多様性に触れる機会の提供は今後も続けていきたいと思っています。

改正

Youth Prideに参加された当事者の方からは、「この体験を通じて自分の気づけていなかった魅力を引き出してもらえた」「なりたい自分に近づけた」などの声をいただくことができました。既存のメンズ/ウィメンズの枠にとらわれないスタイリングをすることで、より当事者の希望に寄り添うかたちでポジティブなメッセージを発信できたと思います。

自分が心地よくいられる社会をめざして

――  LGBTフレンドリーについて今後の課題や展望があれば教えてください。

篠田

ZOZOでは、学校から依頼を受けて出前授業の取り組みを行っています。学校においては、キャリアに関することや探究学習の依頼が多いのですが、今後はそういった機会を通じて、自分が心地よくいられる社会になるような発信も若い世代に向けてやっていければと思っています。

改正

今回のパーソナルスタイリング体験は限られた人数のものでしたが、今後はオンラインでの情報発信などより多くの方に届けられる形を検討していきたいと考えています。また、社内でのLGBTQ+についての理解促進にも引き続き取り組んでいきます。

インタビューを終えて

「ファッションが好き」という思いが根本にあり、そこから個人の違いを尊重し、個性を活かして自分らしくいられる社会をめざす姿勢に感銘を受けました。今後もユニークな取り組みを継続していくことを期待しています。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
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