お話しいただいた方
株式会社イトーキ
人事統括部長 藤城 修二様(写真左)
人事企画室長 仲本 大輔様(写真右)
株式会社イトーキ
株式会社イトーキ(以下イトーキ)は『明日の「働く」を、デザインする。』というミッションステートメントをもとにオフィス家具の製造、オフィス設計等に取り組んでいます。LGBTQ+に関する取り組みではアライコミュニティやパートナーシップ制度等に力を入れています。D&I AWARD2024では最高ランクのベストワークプレイス、2024年PRIDE指標においてはレインボー認定を獲得しました。今回の記事では、イトーキのLGBTQ+に関する具体的な取り組みや今後の展望についてお話を伺いました。
イトーキは、オフィス家具・設備機器製造販売を手がけており、主に働く環境の設計・構築を支援する「ワークプレイス事業」と、物流・研究施設向けの「設備機器事業」を展開しています。創業130年以上の歴史を持ち、機能性とデザイン性を組み合わせた製品作りが強みです。『人のイトーキ』と呼ばれることもあり、多様な価値観を尊重できる温かい社員が多く在籍しています。多様性やLGBTQ+への理解を深めながら、事業と結びついた取り組みを進めています。
2020年頃、当事者であった社員のカミングアウトが大きなきっかけになりました。当時はまだ弊社の制度も風土も整っておらず、企業としても取り組みの必要性を感じていました。
社会的にLGBTQ+に対する課題認識が広がる中で、お客様から相談を受けることが増えたため、「オフィス事業のプロとして知っていなくてはいけない」と実感しました。LGBTQ+に関する活動を通じて、多様な人が働きやすいオフィス設計の知見が深まり、それが社会や弊社の課題解決に結びつきました。
経営層・全社員向けのLGBTQ+研修、アライコミュニティ、パートナーシップ制度の導入等に取り組んでいます。アライコミュニティでは、ランチミーティングを開催して、セミナーやTokyo Pride Paradeの報告会を行っています。イトーキは社員が自主的に手を挙げて参加する風土が根付いており、100人以上がコミュニティに加入しました。そうした取り組みの成果としてPRIDE指標では、2023年ゴールド、2024年レインボー認定を獲得しました。
最初からどのような取り組みを行うか決まっていたわけではなく、実施してみてからLGBTQ+を浸透させるにはどうしたらいいかを考えてきました。PRIDE指標は取り組みを進めていく上でのヒントとなりました。一つひとつの小さな実践を積み重ねていくことが大切だと思います。
「なぜイトーキがLGBTQ+理解促進やDE&Iの推進をしなくてはいけないか」という重要性を経営層から理解していくことが課題でした。まずイトーキは経営においてDE&I、LGBTQ+を推進すべきだというストーリーを描き、人的資本の観点からその重要性を経営層に伝えました。企業として正しい知識を学ぶことで、社員が自分らしく働ける環境が構築され、エンゲージメント向上、離職防止につながっていきます。
取材の機会をいただくことがありますが、それがインナープロモーションにもなっており、注目を浴びている、進んでいる企業の一員であると社員が自覚して前向きに感じられる機会となっています。その結果、エンゲージメント調査の「会社では、ダイバーシティ推進が進んでいる。」という設問で2021年は肯定回答率が45.7%だったところ、2024年では肯定回答率76.5%となりました。
地方拠点や普段ダイバーシティに関わりにくい環境の社員へLGBTQ+の理解を浸透させていくことが課題です。また、LGBTQ+理解を社会課題として捉え、社内だけでなく社外にも波及していきたいです。社外への発信としてDE&Iと弊社の事業と融合した「Workplace × DE&I」プロジェクトを行っています。お客様のオフィスにもDE&Iを推進でき、お客様のために社員がDE&Iについて勉強するという良い流れができると思います。結果として社内外ともにDE&Iが進むという考えです。働き方や考え方は企業ごとに違いますが、これからの社会に必要なことだと、どの企業も思っているはずです。ぜひ一緒に発信して課題感や取り組みを共有できたらと思っています。
ダイバーシティを推進することでハレーション等の不安がある中、勇気や信念をもって取り組む必要があります。問題が起きても挽回できるチャンスはあるので、想像の中で留まらず、一歩踏み出していくことが大切です。
社内にとどまらず社外にもLGBTQ+の取り組みを展開していることに深く感銘を受けました。勇気をもって一つずつ挑戦していくことが、多様な人が働きやすい活躍しやすい環境づくりにつながっていくのだと感じました。
東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております