TOP 事例紹介 従業員同士のつながりが
すべてのゲストに
安心を届ける

従業員同士のつながりが
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お話しいただいた方

総支配人 内山 渡教 様(写真右)

人材開発部長 
日本・ミクロネシア地区統括人事部長
田中 まゆみ 様(写真左)

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宿泊業

HYホテルマネジメント株式会社 ハイアット セントリック 銀座 東京

銀座並木通り沿いに位置するアジア初、新ライフスタイルホテルとなる「ハイアット セントリック 銀座 東京」。伝統を守りながらも、常に新しいものを寛容に受け入れ進化してきた銀座で、訪れた人々が銀座の魅力を知り、感じ、そして体験する拠点となるホテルを目指している。LGBTQ+コミュニティに対し、どのような活動を行っているかなど具体的な取り組みをお聞きしました。

思いやりの心で相手の最高を導き出す理念

――  会社の概要について教えてください。

内山

私たちは「宿泊業」を主要なサービスとして展開しています。2015年にスタートしたハイアットセントリックブランドは、2018年、銀座・並木通り沿いにアジア初の新ライフスタイルホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京」を開業しました。このブランドは、自宅や別荘のようにリラックスして過ごしていただける空間を目指し、シンプルで機能的、そして快適性を兼ね備えたコンパクトなホテル形態を提供しています。
ホテルには164の客室に加え、東京の旬の食材を取り入れたオールデイダイニング「NAMIKI667」とバーエリアがあり、いつでもフレンドリーで温かいおもてなしを心がけています。
現在、約90名の従業員が従事しており、その多くは20代中心の若いチームで構成されています。「ゲストや同僚の声を聴き、その人がベストを発揮できるようケアする」というハイアットのバリュー(価値観)を一人ひとりが体現しており、多様なニーズに応えるインクルーシブな職場環境を目指しています。宿泊客の約95%が海外からのゲストで、多文化共生の環境づくりが重要なポイントとなっています。

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――  LGBTフレンドリーについて取り組むきっかけとなったことは何ですか?

田中

元々ハイアットはダイバーシティやインクルージョンといったプログラムを2018年頃から積極的に進めてきました。そして2020年にハイアットの多様性・公平性・インクルージョン(DE&I)戦略の一環として、「Change Starts Here Commitments」が全世界規模で拡大されたことを機に、「ハイアット セントリック 銀座 東京」でもプログラムを理解し、従業員の意識向上のためにアクティビティをスタートしました。

このプログラム・アクティビティを通して、従業員はLGBTQ+を理解し、色々な知識を身に付けた結果、今の時代にあったブランドとなり、働く場所としても非常に好まれるブランドになっていると感じています。従業員が20代で構成されているのも、採用で若い世代を増やしているわけではなく、自然と従業員たちが新しい仲間を呼んでくるような形になっており、それが結果として採用につながっているのだと思います。

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自然体でいられるチームづくりで、分け隔てのない上質なサービスへ

――  LGBTフレンドリーについて具体的にどのような取り組みをしていますか?

田中

入社時にDE&Iに関するオリエンテーション、またマネジメント対象のインクルーシブに関する研修を実施しています。また毎年6月のPride Monthには、従業員への意識向上のため、サポートしているNPOの協力を得てセミナーを開催したり、レインボーフラッグなどでホテルのバックスペースをデコレーションし、従業員とお祝いをしたりしています。それはホテル内・フロントにおいても同様で、「ハイアット セントリック 銀座 東京」がLGBTQ+をサポートしていることをゲストにも明確にしています。なお、当社が郊外で運営している「ハイアット セントリック 金沢」「ハイアット ハウス 金沢」では2021年から毎年レインボーパレードに参加しており、今年はホストホテルという位置付けで参加しました。銀座からもパレードに参加することもあります。

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内山

DE&Iへの取り組みでは、特に社内向けのチームづくりに重点を置いています。例えば、ホテルのバックスペースについて、従業員が心地よく仕事に取り組めるよう、自宅でリラックスしているような、ありのままの自分を出せる環境に整えることを意識しています。ゲストと同じくらい、従業員のケアを大切にすることが、企業文化の柱となっています。
また、この価値観を視覚的に伝える取り組みとして、従業員の写真を用いた手作りカレンダーを配布したり、図案化したステッカーを壁に貼るなど、日常的にバリューを再認識できる仕組みを整えています。これらの工夫を通じて、人の大切さを意識しながら業務を改善し、より良い職場風土を築いていくことを目指しています。
一方で顧客対応では、すべてのゲストに対して分け隔てのない接客を徹底しています。特に、LGBTQ+の方々にとっては、ラグジュアリーホテルよりもライフスタイルホテルのほうが親しみやすいとされる風潮があります。例えば、男性同士が手を繋いで来館される場面も、ごく自然な光景として受け入れられ、従業員も自然体で接客を行っています。

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※写真はハイアット セントリック 銀座 東京様にご提供いただきました。

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※写真はハイアット セントリック 銀座 東京様にご提供いただきました。

――  取り組みを実現するうえで、困難なことはありましたか?また、それをどのように克服しましたか?

内山

実のところ、LGBTQ+に対し何か目標を掲げて取り組むという意識はあまりない気がします。分け隔てなく自然体で接することが当たり前になっているので、様々な人々が満足できるようなサービスやホスピタリティを、無意識のうちに提供できているのではないでしょうか。

田中

ハイアットの考え方に「We care for people so they can be their best」という理念(パーパス)があります。お客様に対しても従業員に対しても、一人ひとりが共感を持ち、一個人として寄り添い、相手の話に耳を傾けることで、その人のニーズや求めていることを理解し、自分らしくいられるために何ができるのかを考え、行動に移していくことを意味します。この理念のもと、人を大切にする環境づくりが着実に根付き、進化してきたことを実感しています。

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――  取り組みの結果、社員(または顧客)の反応はいかがでしたか?

田中

従業員満足度調査を実施した際、「一個人として認めてくれる」「尊重してくれる」といったポジティブな回答を多くいただきました。これにより、心理的安全性の高い環境を提供できていると実感しています。国内のハイアット全体でも、従業員満足度が非常に高い結果を得ており、良いチームづくりができていると感じています。

内山

従業員にとって「居心地の良い会社」と思ってもらえることが、顧客満足度の向上につながるという好循環が生まれています。例えば、ゲストが再訪した際、いつも同じ従業員の顔を見ることができると、それが大きな安心感を与える要因になります。私たちは、従業員やゲストといったあらゆる垣根を越えた組織を作りたいと考えています。ホテルのロイヤリティ向上だけでなく、従業員同士がつながりを感じられるチームと環境づくりにも引き続き注力していきます。

多様性と個性が響き合う宿泊の新たな選択肢

――  LGBTフレンドリーについて今後の課題や展望があれば教えてください。

内山

国内外問わず、宿泊市場ではホテルに多様性が求められるようになっています。さまざまなホテルのスタイルや、ゲストの要望に応じたブランドが増える中で、個性や遊び心を重視した当ホテルのスタイルも、選択肢の一つとして認識され始めていることを大変嬉しく思います。
銀座という街は、格式ある場所というイメージが強いですが、実際には多様性を受け入れる懐の深い街でもあります。町の人々もそのダイバーシティを大切にしているのですが、それが十分に伝わっていないように感じることもあります。特に現在の30~40代の方々は新しいものに対して柔軟な視点を持ち始めていると感じるので、いつの日か中央通りでレインボーパレードが開催されるような未来が来ることを期待しています。
「ハイアット セントリック 銀座 東京」を拠点に、この街のカルチャーや考え方が他のホテルや地域に広がり、やがて日本全体のハイアットブランドとして多様性を支援できる存在になることを目指しています。

田中

人がホテルを作り上げ、またカルチャーを形づくる存在であると考えています。「ハイアット セントリック」というホテルの理念を理解し、誇りを持って働いてくれる従業員が多いことも非常に心強いです。今後は、そうした従業員がさらに成長し、組織の中心となって、「LGBTQ+だから特別」という意識ではなく、多様性が当たり前の価値観として社会に浸透していくことを期待しています。その実現に向けて、これからも全力でサポートし続けていきます。

インタビューを終えて

今回のインタビューで特に印象的だったのは、従業員とゲストとの距離が近く、とてもフレンドリーな雰囲気だったことです。銀座に位置するホテルでありながら、どこか自宅にいるような温かさとくつろぎを感じさせるのは、当ホテルの個性と遊び心にあふれたチームビルディングの賜物だと思いました。
また、従業員同士の仲の良さや、ホテルの想いが詰まった取り組みが至るところに見られ、今回書ききれないほど多くの素敵なエピソードを聞かせていただきました。「人の大切さ」を深く理解している会社であり、その価値観がこれからさらに広がっていくことでしょう。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
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