TOP 事例紹介 アライがいる職場が当事者の
安心感とやりがいを高める。

アライがいる職場が当事者の
安心感とやりがいを高める。

お話しいただいた方

野村證券株式会社 外国為替部
エグゼクティブ・ディレクター 青木 祐成 様 (写真左)

野村ホールディングス株式会社 グループ法務部
法務業務課長 山本 志乃 様 (写真右)

野村證券株式会社 ミドル・オフィス部
ヴァイス・プレジデント イゲ ライアン 様 (写真中央右)

野村ホールディングス株式会社 DEI推進室
岩崎 真理 様 (写真中央左)

メイン集合写真
金融業

野村ホールディングス株式会社

LGBTQ+支援に取り組む企業において、当事者を支援する「アライ」の活動は重要です。野村ホールディングスでは、社員一人ひとりが自発的にアライを表明する輪が広がっています。当事者にとって身近にアライがいる安心感をどのように広げているか、当事者はそれをどう受け入れているのか、お聞きしました。

アライになろう!
「アライズ・イン・ノムラ・ネットワーク」

――  会社の特徴を教えてください。

岩崎

野村グループは、約30を超える国と地域にネットワークを展開するグローバル金融サービス・グループです。営業、インベストメント・マネジメント、ホールセールという3つの部門が連携し、お客様に付加価値の高い商品・サービスソリューションを提供しています。
私たちは「社会課題の解決を通じた持続可能な成長を実現」を経営ビジョンに、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を進めていて、LGBTQ+支援も含め、社員一人ひとりが自らのもつ能力や個性を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

青木様(写真左)と岩崎様(写真右)

――  LGBTフレンドリーに取り組むこととなった経緯をお聞かせください。

岩崎

野村のLGBTQ+支援は、経営陣のコミットメントによるトップダウンと、社員がみずから動くボトムアップの融合に大きな特徴があります。
社員によるボトムアップの活動は、2010年から始まった「DEI社員ネットワーク」という、社員が自発的に活動する組織を中心に進めています。このネットワークが取り組むテーマは大きく3つあります。そのひとつが、多文化・障がい・LGBTQ+をテーマとした「アライズ・イン・ノムラ ネットワーク(アライズ)」です。現在アライズには20名の運営メンバーがいますが、今日はこのうち3名が参加しています。

――  具体的にどのような活動をしていますか?

ライアン

ライアン様 アライズの活動のうち、まず社内向けの活動を紹介しますと、2013年から野村グループ全体で取り組んでいる「LGBTQ+アライになろう」の一環として、私たちが職場でできることをテーマに、毎年イベントを開催しています。外部講師を招いてお話を聞くのですが、コロナ禍をきっかけとしてオンラインでも配信するようになったことで、東京だけでなく、北海道から沖縄まで全国の社員に広く参加してもらえるようになりました。参加者には「アライシール」と「アライパンフレット」を配布し、賛同をお願いしています。
このほか、メーリングリストのメンバーである約2千人の社員に対し「ニュースレター」を発信しています。例えば「IDAHOBIT」(アイダホビットデイ)という多様な性に注目させる国際デー(5月17日)をお知らせしたり、“偏見を見たらどう行動すればいいか”をテーマにした「アクティブ・バイスタンダー」 (行動する傍観者)のガイドラインを紹介したりしています。

ライアン様

社員自らアイディアを出し、社内にアライの輪を広げる

――  どのような社内向けイベント活動をしていますか?

山本

色々ありますが、直近は、2月14日のバレンタインデーに合わせて、レインボーカラーのダイバーシティチョコレートを社員に配布しました。

青木

アライ活動を紹介したチラシとともに配りまして、チラシにはアンケートサイトへ誘導するQRコードを貼っています。リンク先のアンケートに答えてもらうとアライズの登録メンバーになれる仕組みです。

山本

運営メンバーが虹色のTシャツを着てカフェテリアに立ち、社員に配ったのですが、楽しく活動できました。チョコレートについては、当社が企業パートナーである「プライドハウス東京」を通じて関係のある製菓メーカーさんから調達させていただきました。DEI推進室のネットワークも活用して活動しています。

チラシ(写真左)と虹色のTシャツ(写真右)
ライアン

私はLGBTQ+の当事者であり外国人でもある“ダブルマイノリティ“なんですが、2023年6月に、100名以上の社員が参加する社内イベントで自分のカミングアウトストーリーをお話する機会をいただきました。
日本ではオープンにする社員は少ないと思います。私もカミングアウトする前は悩みながら働いていました。当時アライだった上司に打ち明けてその後どうなったかといった実際のエピソードを資料にまとめ、お話しました。当事者社員が活躍できる環境づくりの大切さを伝えることができました。

――  社外に対してはどのような活動をしていますか?

ライアン

毎年「東京レインボープライド」にブース出展したり、「プライドパレード」に参加したりしています。ブースを訪れた方には「希望のメッセージ」を書いてもらって虹色の缶バッチやアライパンフレットを渡しています。実は2023年のイベントには野村ホールディングスの奥田グループCEOも参加しています。企業のトップのアライ宣言は大変心強いものです。
また、大阪の「レインボーフェスタ」にも参加し、大阪支店の社員と一緒になってNPO団体のブース支援を行いました。
それから、毎年夏にLGBTQ+の映画祭を開催している「レインボーリール東京」というイベントにも協賛しています。映画というメディアを通すと、また違った角度で理解が深まります。

岩崎

虹色の缶バッチ(写真左)と冊子(写真右) 会社としての取り組みをご紹介すると、当社は「PRIDE指標」のゴールドおよびレインボーを連続受賞していますが、2023年のレインボー受賞のきっかけとなったのが『LGBTQ+ユースのための自分らしいライフプランとお金の話』という小冊子の発行です。これはライフプランやお金という切り口で、LGBTQ+当事者に立ちはだかる壁や困難を解消するという狙いのもと、特にトランスジェンダーの方々に向けて、ライフプランを考える上でどんな費用が必要なのかといった視点で作りました。当事者の方から高い評価をいただいております。

虹色の缶バッチ(写真左)と冊子(写真右)

当事者が安心して働けるまで支援を繰り返し続ける

――  さまざまな活動を通じて今どのような想いを抱いていますか?

青木

正直なところDEI社員ネットワークに参加する前は、あまりLGBTQ+支援に関心はありませんでした。障がい者支援をきっかけにLGBTQ+について学び、違いはあるけれども根本的に同じ問題があることに気づきました。当事者と話すと、皆さん自分を素直に出せないつらさを抱えている。そうした状況はなくすためにもアライの存在がとても重要です。「LGBTQ+とは何か?」という基本を繰り返し伝えていくことが大切で、今後も続けていきたいと思います。

山本

私たちの支援活動は当事者に対してはもちろんのこと、社内における活気の創出という影響も大きいと思っています。チョコレート配布の企画では「元気が出ました!」といった社員の声もいただいています。
当社はもうすぐ創立100周年を迎えようとしている中、社外向けの活動も引き続き大切にしていきたいと思っています。東京レインボープライドでは、当社ブースに訪れた方から「野村さんがこんなに積極的にLGBTQ+の支援活動をしているとは知らなかった」と驚きの声を頂戴しました。お客様からも、「会社がこうした活動をしてくれて嬉しい」「子どもが就職を考えるときにLGBTQ+支援をする会社をすすめたい」というお声も頂戴しています。

ライアン

カミングアウトをして何が変わったかというと、私の場合は非常にポジティブになれました。以前はバレたらまずいという気持ちがあって社員同士の会話でも言葉を選んで伝えていました。余計なことに頭を使い、仕事に集中できないこともあったのですが、カミングアウトしてからは自分らしく働くことができ、積極的にチャンスをつかみにいけるようになったと思います。これも当時の上司がアライであったおかげです。
これからのアライは行動する人、「アクティブアライ」であってほしいと思います。イベントに参加したり、本を読んだり、映画を観たりして理解を深め、そして偏見を見かけたら声を上げる。そんな一歩進んだアライがもっと増えていくよう活動を続けていきます。

青木様(写真左)とライアン様(写真右)
インタビューを終えて

「アライの輪を全国へ」というスローガンのもと、野村ホールディングスは社員を中心としたアライ活動を積極展開しています。当事者が働きやすい職場にするには、何よりアライの存在が重要だということが分かります。その活動の先に、当事者を含めて誰もが安心できる職場、やりがいを持って働くことができる環境が広がっています。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております

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