TOP 事例紹介 「すべての人が『しあわせ』を
感じられる社会に向けての共創」
を通じて支援の輪を広げる

「すべての人が『しあわせ』を
感じられる社会に向けての共創」
を通じて支援の輪を広げる

お話しいただいた方

サステナビリティ部 サステナビリティチーム リーダー
大熊 チェルシー様(写真右)

サステナビリティ部 ヒューマンライツチーム リーダー
小田 有津沙様(写真左)

丸井グループ本社
卸売業・小売業

株式会社丸井グループ

2016年以降『東京レインボープライド』に協賛している丸井グループ。同社のDE&Iの取り組みは、2023年度現在、PRIDE指標を7年連続でゴールドを受賞、さらにD&Iアワードにおいても従業員数3001人以上の企業部門で大賞を受賞するなど活動が評価されています。企業理念や企業文化がどのようにDE&I推進につながっているのか、お話を聞きました。

すべての人のお役に立つインクルーシブなモノづくり

――  丸井グループの事業や特徴について教えてください。

大熊

大熊さん 丸井グループは、創業期より小売と金融が一体となったビジネスを展開してきました。首都圏を中心とした商業施設の運営・エポスカードというクレジットカードの発行で事業を拡大してきましたが、今では成長の主役が小売からフィンテックへ移行し、これにイノベーションの創出をめざす「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを推進しています。特に、“共創”という考え方を重視し、すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の総和を企業価値と考える「ステークホルダー経営」を進めています。

大熊さん

――  「DE&I」に取り組むことになったきっかけは?

小田

当社は経営のミッションとして、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」ことを掲げています。この大きなミッションの実現に向け、さまざま商品やサービスをお客さまと共に生み出してきました。この一環として、2010年に開発したのが、靴のサイズに注目した『ラクチンきれいシューズ』の展開です。

大熊

お客さまと一緒になって企画会議を行い、足のサイズの大きい方や小さい方にも合う16サイズの靴を開発しました。これが結果的に、従来のサイズで履けなかったトランスジェンダーのお客さまにも好評をいただきました。
「MtF」(トランスジェンダー女性)の方には、パンプスを履きたいけれどもサイズがない方がいらっしゃり、靴や服など自分の性自認にあったものを自由に身につけられることが求められていました。

小田

「誰も取り残されることのない社会の実現を共にめざす」との考えから、すべてのお客さまに安心してご利用いただける「インクルーシブな店づくり」をコンセプトに、2016年4月に完成させたのが『博多マルイ』です。お客さまと対話してつくり上げたお店となりました。なお、博多マルイは「九州レインボープライド2023」にも参加しています。

足のサイズの大きい方や小さい方にも合う16サイズの靴を開発

お客さまや共創パートナーとの協業で支援が広がる

――  DE&I推進はどのように進展していったのですか?

大熊

LGBTQ+アライバッジ お客さまとの取り組みと、社内での取り組みに分かれます。前者の例の一つ、当社が発行する『エポスカード』は、ゴールドカードをお持ちのご家族に対し、手数料無料でゴールドカードを発行する仕組みですが、こちらは同性パートナーのお客さまも利用可能です。当初から利用可能ではありましたが、当事者の方からお問い合わせがあった際、しっかりと明記できていなかったことに気づき、同性パートナーの方もお申込みいただけることを公式サイトへ掲載しました。
他にも、LGBTQ+支援コミュニティの『プライドハウス東京』の提携カードを発行し、その発行手数料が自動的にコミュニティに寄付されます。さらに、貯まったエポスポイントをプライドハウス東京に寄付することも可能にしています。

LGBTQ+アライバッジ
大熊

他にもオーダーメイドのビジネスウェアを提供している『ファブリックトウキョウ』様との共創も進めています。あらゆる方が自分らしいスーツを選択できるよう、メンズパターンのオーダースーツを性別に関わらずお届けするプロジェクトに取り組んでいて、当社のミッションとも親和性が高いことから後押ししています。現在『渋谷モディ』の4階、インクルーシブフロア内に「オールジェンダーストア」としてご出店いただいています。すべての方が居心地よく過ごしていだけるようなお店づくりをしていて、あらゆる性別のお客さまが、オーダー体験をお楽しみいただけるスペースとなっています。

――  社内での取り組みも教えてください。

大熊

DE&Iをテーマにした『ダイバーシティ研修(LGBTQ編)』を2016年にはじめて実施しました。これは社員だけでなく、テナント様のスタッフも対象としました。LGBTQへの理解促進を目的としたものでしたが、受講者からは、すぐそばに当事者の方たちがいると気づいた、接客に活かしたいといった前向きな意見をもらうことができました。
続く2022年にはより受講者の行動変容に繋がる内容へとリニューアルし、店舗での接客対応を再現する動画を作成するなど、すべてのスタッフが「インクルーシブなご案内」をするよう伝えることとしました。
例えば、同性同士のお客さまが来店されたときに、スタッフがお客さま同士の関係性を勝手に決めつけて相手の方を「お友達」と呼ばず、「お連れ様」と表現しましょうとアドバイスしたり、アクセサリー売場に来店されたら、商品を女性へのプレゼントだと決めつけず、ご本人が身につけることも想定するよう発信しています。

小田

2016年以来、当社は『東京レインボープライド』に協賛していますが、2023年の代々木公園で行われたプライドフェスティバルでは、共創パートナーである『ファブリックトウキョウ』様と出展しました。同時に渋谷モディでも様々な関連イベントを開催しました。期間中は、靴やオーダーメイドのビジネスウェアといったアイテムを出展しました。『Kesou』というパンプスのブランドの紹介では、サイズ幅だけでなく、素材にペットボトルの再生糸や天然ゴムといったサステナブル素材を使っていることをお知らせしています。多くの来場者様に関心をお持ちいただき、当社のインクルーシブな取り組みを知っていただく機会になったと思っています。

小田さん

インパクトと利益の二項対立を乗り越える

――  今後の展開について教えてください。

大熊

2023年9月には丸井グループ初のERG(社員リソースグループ)を発足しました。今後、DE&Iに関連した社内・社外の交流会などを積極的に展開していく予定です。
それから、DE&Iにつながる社内制度を充実させていますが、安心して働ける環境づくりについてはまだ多くの課題があると考えており、引き続き支援活動を続けていきます。

小田

当社の中期経営計画である「丸井グループ ビジョン2050」では、インパクトと利益の二項対立を乗り越えるという宣言をしており、実現に向けたキーワードとして“一人ひとりの「しあわせ」を共に創る”を掲げています。一人ひとりの個性を応援してこの二項対立の解決を目指していければと思っています。

大熊

ガイドブック 当社1社だけでは社会課題への対応は限定的ですが、“共創”を通じて取り組みの輪が広がっていくことで、より大きなインパクトを社会に与えられると思っています。丸井グループとして、ステークホルダーとの共創を通じてインクルージョンの推進を図れればと考えています。

ガイドブック
インタビューを終えて

「確実にアライを表明する方が全社的に増えています」と話す大熊さん。アライの表明はもとより、熱意のある社員が手を挙げ、ビジネスを進めたり、イノベーションを起こしていく「人材の力」こそ同社の強み。今後も産業界をリードするような人的資本経営に取り組み、より一層のDE&I推進が期待されます。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております

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