TOP 事例紹介 当事者・パートナーの
住まいの困りごとに
向き合う。

当事者・パートナーの
住まいの困りごとに
向き合う。

お話しいただいた方

代表取締役 會田雄一 様

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不動産業

株式会社家や不動産

東京・上野を中心にマンション売買仲介を手掛ける「株式会社家や不動産」。代表の會田様は、性的マイノリティ当事者の置かれている実情を知ると、住まいに関わる諸問題に対応するため、専用の相談窓口を開設。当事者の困りごとを解決する支援サービスを起ち上げました。マイノリティ支援のノウハウと経験を活かし、サポートの輪を広げています。

住まいに困っている人たちを支えたい

――  事業内容をご紹介いただけますか?

會田

画像02 主に上野周辺、一都三県のマンションの買取や再販、賃貸物件の仲介に携わっています。再販とは居抜きの物件を購入し、リフォームをして販売することです。一般的な不動産仲介業と比べ、当社が特徴的なのは、住宅ローン返済困窮者および離婚して住まいに困っている方たちへの相談窓口になっていることです。人生の転機で収入が減ってしまい、住まいや返済に困ってしまう方がいらっしゃいます。これまで30年近く不動産業界で培ってきた自分の知識・経験を活かし、困っている方々へ住まいの支援に取り組んでいます。

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――  「LGBTQフレンドリー」に取り組まれたきっかけは?

會田

直接的なきっかけは仕事の関係者からの情報提供です。同性同士で“住宅ペアローン”を利用する人が増えていると聞いたことがきっかけです。住宅ペアローンとは、同一物件の購入に対し、2人の収入を合算して購入するため2人とも住宅ローン控除を利用できる住宅ローンです。一般的には夫婦や親子で組みますが、これを同性同士で利用できるというのは初耳でした。この話から同業の不動産会社がどんな取り組みをしているのか、いろいろ調べたりしているうちにLGBTQ研修などを実施している民間の研修会社に興味を持ち、ミーティングに参加しました。性的マイノリティを支援し、アライを広めるさまざまな活動があることが分かり、何か当社でも活動したいと思ったことから、性的マイノリティ向けの相談窓口を開設しました。
当社は離婚して住まいに困っていたり、住宅ローンの返済ができなくなった方など、マイノリティ支援を事業活動の基盤に置いています。性的マイノリティ当事者の支援についても取り組むべき課題と捉えて、日々対応を進めています。

夫婦同然なのに一緒に住めない問題

――  具体的にどのような活動をしていますか?

會田

本店に、『LGBTQ当事者のためのおうち探しと住宅関連相談窓口』を開設し、定期的に無料の個別相談会を実施して性的マイノリティの方たちの住まいの困りごとの解決にあたっています。困りごとというのは、主に賃貸物件で生じる問題、例えば同性同士で賃貸物件が借りられない、断られるといった問題への対応です。同性同士の入居が拒絶されてしまう理由としては、性的マイノリティの理解不足から来る偏見があると思っています。

――  当事者同士が住める物件を紹介するのですか?

會田

もちろん私どもも紹介をしますが、不動産の物件検索サイトでも性的マイノリティ当事者の入居可能な物件は探せます。しかし、担当者から入居の動機は何か、どういう関係かと細かく聞かれた挙句、理由をはっきり告げられずに断られてしまうこともあると聞いています。なぜ夫婦同然なのに、異性同士と同じ扱いをされないのか。住まい探しでこういうことが積み重なって、心にダメージを受ける方が多くいます。そこを私たちがケアしていきたい、借りにくさを解消したいと思っています。

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住宅支援の輪、さらに官民一体の広がりに

――  活動を通してどのような影響がありましたか?

會田

画像04 先ほどお話させていただいた『LGBTQ当事者のためのおうち探しと住宅関連相談窓口』は今年(2023年)に開設しました。当社の窓口は性的マイノリティ当事者の方の相談等をお受けするスペースを御用意し、プライバシーにも配慮しているので安心して御相談いただける環境となっています。
ここでは、性的マイノリティ当事者の住まいの悩みを受けとめる“一次相談所”としての機能を持たせており、寄せられた相談の問題を把握し、その解決に向けて、適宜専門家もご紹介します。いわば問題解決のワンパッケージ・サービスとして、当社の人脈・ネットワークを活用して当事者のあらゆる困りごとに対応します。
まだ開設したばかりですが、ある相談者さんからは、台東区に相談窓口をつくってくれてありがとうと、感謝の言葉をいただいたことがありました。同時にもっと周知してほしいと叱咤激励もいただいています。たしかに周知が行き届いているとは言えないので、SNS広告やYouTubeに紹介動画をアップしたり、店舗の外観にも告知してPRに努めています。また、他の企業が『東京レインボープライド2023』にブースを出展する際に、当社の『住宅支援宣言』を紹介するポスターも展示させてもらいました。この取組は東京だけでなく、名古屋、関西、福岡、でも行っています。

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――  今後の活動など、お聞かせください。

會田

性的マイノリティ当事者が隠れることなく、普通の状態でいられる社会であることが実現すべきゴールだと思っているので、まだまだ啓発活動を続けていきます。
東京都の研修に参加して、そこで性の多様性に関するガイドラインを知り、2023年1月23日には、当社独自の『性の多様性を尊重する住宅支援宣言(LGBTQ-ALLY住宅支援宣言)』を策定・表明しました。この中で性の多様性を尊重するまちづくり宣言を行っていますが、当事者が抱える問題は住まいだけではありません。就労に困っていたり、生活そのものに困っている場合もあります。これには官民一体となった支援が必要と思うので、東京都や台東区とも連携して、活動を続けていきたいと思っています。

インタビューを終えて

同社の『住宅支援宣言』には、「誰もが幸せを実感しながら自分らしく暮らすことができる住宅斡旋』と書かれています。当事者が自分らしく暮らせる社会になるために、不動産業界をはじめ、さまざまな業界の“事業の力”が求められます。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております

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