TOP 事例紹介 「人は財産」という
理念のもと、誰もが
活躍できる場を創造。

「人は財産」という
理念のもと、誰もが
活躍できる場を創造。

お話しいただいた方

コーポレート統括本部 人事本部人事統括部

 DEI推進室室長  土佐知志様(写真右)

 DEI推進室課長 豊島やよい様(写真中央)

 DEI推進室課長代理 前田京子様(写真左)

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情報通信業

株式会社NTTデータグループ

「当事者に向けて、何か自分ができることはないか」。2016年に活動をスタートさせて以来、NTTデータグループではLGBTQ+関係の社内セミナーや研修、イベント等の開催を重ね、当事者を支援するアライメンバーを増やし続けています。『人財が企業価値の源泉』ととらえるNTTデータグループでは、多様な人財が活躍できる、働きやすい職場環境づくりを推進しています。

経営の根幹に人財。事業の持続的成長を目指す

――  NTTデータグループの事業をご紹介ください。

土佐

画像02 NTTデータグループは、世界50ヵ国以上でITサービスを提供している日本有数のシステムインテグレータです。デジタル技術を活用したビジネス変革や社会課題の解決に向けて、さまざまなサービスを提供しています。
2023年からスタートした中期経営計画には5つの戦略があり、その中で、事業成長の根幹を成すものとして『人財・組織力の最大』を戦略全体の基盤に置いています。人材のザイに、財産の『財』の字を充てて用いているように、システム開発は人が行うものであり、人が事業の源泉だという企業風土が当社には根付いています。

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――  「DEI」とはどういう意味ですか?

土佐

当社は2008年からダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、2021年度からD&IにエクイティのEを加えたDEIに表現を改め、推進体制を強化しています。エクイティ、すなわち公平性は、社員の状況や特性に合わせて、公平な機会を提供しようという考え方を表したものです。
当社は、2007年から女性活躍推進や働き方変革に取り組み、社員一人ひとりが活躍できる職場環境づくりを推進してきました。その流れで『LGBTQ+』への対応もしてきましたが、2016年からDEI推進活動の柱のひとつに据え、以来、LGBTQ+関係のセミナーやイベント開催を重ねてきました。2022年には参加者が90名(グループ42社)となり、2023年4月にはアライの社員数が640名に達しました。『PRIDE指標』も6年連続でゴールドを受賞しています。(NTTデータ関西は7年連続)
アライメンバの推移(NTTデータグループ内)※アライメンバーは「LGBTQ+の支援者」

当事者からの問い合わせと経営幹部の理解

――  LGBTQ+に取り組むようになったきっかけがあったのですか?

前田

当事者からの問い合わせがきっかけになりました。同性のパートナーと暮らしているけれども会社の福利厚生制度を利用できないかというもので、これが発端となって、性的マイノリティの社員に対する制度や配慮の必要性を認識しました。

――  具体的にどのようなことから始めたのですか?

豊島

まず、人事総務担当者の知識を深めました。それから社内にアライメンバーを増やす必要があるとして管理者研修や一般社員向けセミナーを開催しました。
学ぶことから始まったLGBTQ+への対応ですが、必要な取り組みの多さからDEI担当だけでなく、制度担当や研修担当など、関係部署と連携を広げていきました。
できる取り組みから初めて、一つの取り組み対して社員の反応や意見をもとに、次はこの取り組みをやっていこう、という形で拡大していきました。

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――  スピーディーに広がったような印象です

土佐

経営幹部のLGBTQ+に対する理解度が高かったことで社内浸透が急速に進んだと思います。「なぜLGBTQ+に対応する必要があるの?」といった議論をすることなく、制度の改定や運用段階に進むことができたのはありがたかったです。

社内セミナー・管理職研修実施。疑問・質問に細かく対応

――  具体的にどのような活動をしているか教えてください。

前田

画像04 LGBTQ+の当事者も同等の制度が利用できるように社内制度を改定しました。それから、LGBTQ+の当事者専用窓口を設けて、制度や職場環境の問い合わせや苦情を受け付けられるようにしました。また、有識者や当事者を招いたセミナーを定期的に開催し、社員や管理者や役員がLGBTQ+を学ぶ機会を提供しています。
セミナーやイベントに参加した社員は、当事者と実際に交流することでLGBTQ+への理解が進みます。13人に1人の割合で当事者が存在するということを知り、自分の家族や周囲にも当事者がいるかもしれない、苦しい思いをしているのではないか、カミングアウトしていない方も多い中、自分はどう対応したらいいかと、LGBTQ+を自分ごととしてとらえた声が多く寄せられました。セミナーには出席できなかったけれども、アライになりたいと連絡をくれる社員たちもいて、すごく嬉しく思っています。

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豊島

2022年には、当社の副社長と当事者社員が対談する企画を設けました。これをきっかけに経営幹部はさらに具体的な気づきを得たようです。幹部や管理者は、部下との距離を縮めたい気持ちから、会話の中で結婚などプライベートな話題を持ち出すことがあります。それが当事者にとってはプレッシャーになることもあるという認識を改めて確認したようです。
管理職を対象にLGBTQ+の研修を実施すると、例えば「部下から当事者であるとカミングアウトされたらどう対応するのが良いのか」といった質問が寄せられます。いつもお伝えしているのは、「当事者本人がどうしたいのかを必ず確認する」ことです。
良かれと思ったとしても、本人に確認せずに当事者のことを職場のメンバーに伝えるのはアウティングになります。何かしてあげたい、すべきではないか、と思ったことがあったら、かならず当事者本人にどうしたいか聞いてから行動するようにしてください、と伝えています。

前田

いろいろなケースがあるので、FAQ形式の事例集を作って、社内サイトで公開しています。状況に応じてどう対応すればいいかが分かりやすく整理されていますが、もっと活用していただけるよう、情報を蓄積したいと思っています。

安心して働ける場、活躍できる環境づくり

――  今後の活動など、お聞かせください。

前田

今後、アライメンバーの横の繋がりを持たせたコミュニティを作っていきたいです。カミングアウトしている方だけでなく、潜在的な当事者も安心して働け、社内外で活躍できる環境を整えようと考えています。LGBTQ+の方たちが働きやすければ、他のマイノリティの方たちも働きやすい。それは社員全員の働きやすさにもつながっていきます。そんな職場をイメージしながら、今後も活動に取り組んでいきたいと思います。

土佐

我々のようなIT企業は、人が事業の源泉であるという認識が強いのですが、それはどの業種でも、企業を構成しているのは“人”であることは変わりません。
経営として人の問題に向き合うことが大切で、それが最終的には事業の発展にもつながっていくと思います。
LGBTQ+に対し、我々もこれまでできることからやってきましたが、社員への想いをしっかり持って、これからも支え続けたいと思います。

インタビューを終えて

アライメンバーのコミュニティを作っていきたいと話すDEI推進室の皆さん。LGBTQ+の方たちにとって働きやすい環境であることは、多様性を尊重し、自分らしく働ける環境を提供することとなり、他のマイノリティと言われている方たちも働きやすい。それは社員全員の働きやすさにもつながっていく。そんな想いが広がっていきます。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております

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