お話しいただいた方
株式会社JTB DEIB・サステナビリティチーム
DEIB・サステナビリティチームマネージャー
・DEIB推進事務局長
芦原 真由美 様(写真左)
DEIB・サステナビリティチーム
DEIB・サステナビリティ担当マネージャー/DEIB推進統括
小川 祐佳里 様(写真右)
DEIB・サステナビリティチーム グループリーダー
/LGBTQ+推進担当
岸本 京 様(写真中央右)
株式会社JTB
株式会社JTBは、個人・法人への旅行販売にとどまらずMICE、地域創生など幅広い事業展開を行う「交流創造事業」へと変革を遂げています。2023年度からDEIに「心理的安全性(Belonging)」を加えた「DEIB」を国内外のJTBグループ全体に展開し、多様な人財の尊重とLGBTQ+への理解促進を進めています。その具体的な取組についてお話を伺いました。
JTBグループは今年で創業114年の、歴史ある会社です。外国のお客様の誘致からスタートし、チケット販売、パッケージツアー販売など時代の移り変わりにあわせて事業を広げてきました。現在では、人と人、人と地域や組織をつなげてお客様に新しい価値を提供する「交流創造事業」を事業ドメインに掲げています。具体的には、国内外の旅行だけではなく、MICE、地域創生や観光DX、オリンピックやワールドカップといったスポーツイベント関連など、多岐にわたる事業を展開しています。
2006年の分社化に伴う経営再編の際に、役員における女性比率の低さへの問題意識からJTBグループのダイバーシティへの取組がスタートしました。2007年にはダイバーシティ推進室を設立し、当初より女性活躍推進をはじめ、働き方改革や組織風土改革を中心に取組を進めてきました。
もうひとつのきっかけはコロナ禍です。このときに社会の価値観や、事業環境も大きく変わったと感じています。もとより個人法人を問わず非常に多様なお客様と関わる仕事だからこそ、自分たちも多様性を理解して進めていかなければという思いがありました。また、ただDEIを推進するだけでなく、DEIを実現することで新しい価値を生み出していくためには、社員一人ひとりが活躍できる、意見を言っても大丈夫だと感じられる心理的安全性(Belonging)の高い土台(企業カルチャー)が必要だと考えました。そういった背景もあり、2023年にこれまでのDEIに「B:Belonging」を加え、「DEIB」としてステートメント「違いを価値に、世界をつなぐ。」を制定し、その重点施策のひとつとしてLGBTQ+に関する取組を開始しています。
制度面では、家族の定義に同性パートナーも含める形で就業規則の改定や福利厚生の拡充を実施しました。
さらに、社内だけではなくお客様対応のなかで当事者の方に関わることも想定して、正しく理解をするためLGBTQ+に関するガイドブックを作成し、その内容をベースにしたeラーニングを全役員・全社員向けに展開しています。
海外旅行においては、LGBTQ+当事者が危険にさらされるような国も存在しますので、そういった内容も基礎知識として盛り込みました。また、お客様対応について迷った際に相談できる外部専門機関の窓口も設置しています。
社外に向けては、Tokyo Prideの出展とパレードへの参加があります。社内では「PRISMee(プリズミー)」という名前でAllyネットワークを運営しているのですが、そのメンバーの意見も取り入れながら出展内容を検討しました。2026年のTokyo Prideではブース運営に参加した社員が60名、また役員も含め40名が実際にパレードを歩きました。
Allyネットワークの運営は2024年から開始し、イベント出展もきっかけに少しずつ人数が増え、現在は80人ほどになっています。
社内報にも定期的に取組を掲載しています。2025年12月に開催した、DEIBをテーマとした全社イベント「DEIB Week」のなかでLGBTQ+もテーマのひとつとしてプログラムを展開し、短編映画の上映を行いました。
さまざまな取組を進めていますが、LGBTQ+への理解度は、人により温度差があると感じています。単に旅行商品を販売することだけではなく、正しい知識をつけていくことがお客様のためにもなっていきます。またLGBTQ+を"特別なこと"ではなく、日常の一部として自然に受けとめてもらうことを考えていくのも大切だと思います。先ほどお話ししたAllyネットワークや社内報など、各種コミュニケーションツールを活用し、映画や本を紹介するなどして広めていければいいですね。
DEIB全般に言えることですが、理解を深めるには社員が「自分ごと」として考えられる機会をいかに作っていくかが大事だと思います。
プライドパレードでは、沿道から「ハッピープライド!」と多くの声援をいただき、感銘を受けた社員もいたようです。また、ブース出展ではお客様から旅行に関する改善点についてご意見をいただくアンケートと、オリジナルグッズの配布を行いました。そのなかで、例えば「ダブルベッドの予約を勝手にツインに変更しないでほしい」「(申し込みの際に)性別は聞かないでほしい」など今まで気づかなかったような生の声をたくさん聞くことができました。これを分析し、今後の商品やサービスに生かしていきたいと考えています。
Tokyo Prideで配布したオリジナルグッズのスーツケースタグ
Tokyo Prideで配布したオリジナルグッズのスーツケースタグ
LGBTQ+やDEIBについて、全員が自信を持って語ることができる状態にはまだまだ道半ばだと思っていますので、引き続き知識を深め啓蒙をしていきたいです。また、制度面も社員の声を聞きながら、よりよい形にアップデートしていければと思っています。
本格的にLGBTQ+に関する取組を始めた当初はAllyネットワークの人数も少なかったですが、研修や映画祭、交流会などを通じて徐々に数を増やし、草の根的に活動してきました。好きなことや興味を持つポイントは社員によって異なります。例えば映画が好きだから映画祭に参加しただけであっても、それをきっかけにLGBTQ+について知ることもできると思います。発信方法にも工夫を凝らしながら、周知活動を続けていきたいです。
「Belonging(心理的安全性)」をベースに、社員みずからがDEIBやLGBTQ+について知識や関心をどう深めていくかを考え、積極的かつ主体的に動いている様子が印象に残りました。これからもこの活動をさらに発展させていただきたいと感じました。
東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております