TOP 事例紹介 安心と信頼を提供、
「LGBTQのお客さま向け
お問い合わせ窓口」が生む
新たな保険サービスのカタチ

安心と信頼を提供、
「LGBTQのお客さま向け
お問い合わせ窓口」が生む
新たな保険サービスのカタチ

お話しいただいた方

お客さまサービス相談部 コミュニケーションセンター長
関口 陽子 様(写真中央右)

お客さまサービス相談部 コミュニケーションセンター
主席スタッフ 小黒 ゆかり 様(写真右)

企画部 サステイナビリティ経営推進部長 
来住 慎一 様(写真中央左)

企画部 サステイナビリティ経営推進担当 主任スタッフ
青木 千佳 様(写真左)

メイン画像
保険業

明治安田生命保険相互会社

今回の取材では、日本最古の生命保険会社である明治安田生命保険相互会社が、多様性を尊重し、LGBTQ+のお客さまに寄り添う「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」を開設した背景や想いについて伺いました。窓口担当者によるきめ細やかな対応や、創業以来受け継がれてきた『人に一番やさしい生命保険会社』の理念がどのように活かされているのか、その詳細をお伝えします。

LGBTQ+のお客さまが安心して相談できる「みんなにやさしい保険アクセス」を展開

――  会社の概要について教えてください。

来住

当社は創業以来、百数十年に渡って、相互扶助の精神のもと生命保険事業のパイオニアとして、お客さまと地域社会を支えてきました。一人ひとりの想いに応え、お客さまが、健康で安心して暮らせるよう、生涯にわたって支え続けることが私たちの使命であり、こうした想いを「確かな安心を、いつまでも」という経営理念に込めています。
現在、格差と分断が拡大し、孤独や孤立が進むなど、持続可能な社会へのニーズがますます高まっています。その中で当社は、「お客さま」「地域社会」「働く仲間」といったステークホルダーと共に価値を創造し、その価値を「未来世代」へ引き継ぐことを目指しています。こうした取り組みを通じて、持続可能で希望に満ちた豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えています。

インタビュー画像1

「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」を開設

――  LGBTフレンドリーについて具体的にどのような取り組みをしていますか?

関口

今般のLGBTQ+のお客さま向けの取り組みとして、LGBTQ+支援団体へのヒアリングをきっかけに、「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」を弊社のコミュニケーションセンターに開設しました。
団体へのヒアリングにより「本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露されてしまう「アウティング」を恐れて、保険会社への接触を躊躇してしまっている」という悩みや、「心情を十分理解した担当者に応対してほしい」といったニーズを抱えていることが分かり、LGBTQ+のお客さまが安心して当社にお問い合わせできる環境の整備が必要だ、と検討をはじめたのがきっかけでした。
窓口開設にあたり、LGBTQ+のお客さまが安心してお問い合わせいただくためには、応対者の教育が1番大切だと考え、団体の方を講師に招き、応対者向けの研修を行いました。
また、当社では通常、アフターフォローの強みを活かして、すべてのお客さまに担当者がつく、「MYリンクコーディネーター」を介した対応を行っているのですが、「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」の開設にあたっては、担当者を介した対応を望まないお客さまもいらっしゃることを想定した対策が必要でした。
そこで、電話やオンラインで手続き等をご案内するなど、担当者を介さないサービスを提供できるようにしました。
必ずお客さまには地域の担当者がいて、きめ細かく対応するというのが我々の基本スタイルでしたので、担当者を介さないサービスというのは、我々にとって大きなチャレンジでした。

インタビュー画像2
インタビュー画像2

取り組みを実現するうえで、困難なことはありましたか?また、それをどのように克服しましたか?

小黒

LGBTQ+窓口の開設にあたり、従来の対応が適切であるというバイアスがないか、「当事者の心情を理解し、寄り添った対応」をどのように実現するかなど、当初は不安がありました。そこで研修では、「LGBTQ+・SOGI(性的指向・性自認)」の基礎知識に加え、LGBTQ+の方々が直面する問題やライフステージごとの課題、保険サービス利用時の困難について、当事者の方から直接お話を伺いました。また、「どのような言葉遣いが望ましいか」など、講師のフィードバックを取り入れました。

インタビュー画像3
関口

窓口での対応をより丁寧にするため、想定される質問を事前に洗い出し、LGBTQ+支援団体のアドバイスを基に、当事者の方の心情に配慮した「Q&A集」を作成しました。研修後も、窓口担当者同士のディスカッションを通じて理解を深め、対応力を高めています。

小黒

もちろん、実際の対応では想定外のお問い合わせも発生します。初めて窓口をご利用いただいたお客さまの事例は、LGBTQ+の「Q」に該当する方からのご相談でした。その方は男性、女性という性を持たないため、手続き上の性別記載欄に「どちらでもない」と記入したいという内容でした。想定Q&Aにて事前準備をしていたものの、「どちらかを選びたいのでは」といった固定観念や、「同性パートナーを受取人に指定したい」という相談が多いものと予想しておりましたため、一瞬対応に戸惑ったことを覚えています。

それでも、研修で当事者の方々の話を聞いていたおかげで、しっかりと受け止めて対応することができました。結果として、お客さまから「研修を受けている方が対応してくれて素晴らしかった」とのお言葉をいただくことができました。この経験から、当事者がこれまで言えなかった思いについて勇気を持って話してくださったことに真摯に向き合い、否定せずに受け止めることが、非常に重要だと感じました。短い会話でも、「理解してくれている人が窓口にいる」という安心感を持っていただけたことが、大きな成果だと思っています。

インタビュー画像4
インタビュー画像4

――  その取り組みの結果、社員または顧客の反響はいかがでしたか?

小黒

実際にお問い合わせいただいたお客さまからは、「死亡保険金受取人の変更を担当者に言い出せずずっと悩んでいたところ、ネットで窓口ができたことを知り、勇気を出して電話をかけたのですが、配慮ある対応をしていただきありがたいです」といった感謝の声や、「LGBTQ+の研修を受けた方が対応するというのは素晴らしい」とお褒めのお言葉もいただいています。応対者としても、このような言葉をいただけると自身のモチベーションにもつながりますし、今後もしっかり対応しなくては、という気持ちになります。
お客さまから勇気を出してお問い合わせいただくからには、満足いただく対応を提供できるよう心がけています。

インタビュー画像5
関口

また、開設からこれまでは、お手続きのお願いに加えて感謝の声をいただくといったケースが多く、ネガティブな苦情などは、ございません。そういう意味では、チャレンジしてよかったなという思いが強いです。また、他の会社のコミュニケーションセンターの方から、参考にさせていただけませんかというお問い合わせもあり、この取り組みへの反響を実感しています。

今後の課題・展望

――  LGBTフレンドリーについて今後の課題や展望があれば教えてください。

青木

当社では「信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社」という企業ビジョンを掲げており、その実現に向け、「ご高齢の方」「障がいのある方」「LGBTQ+の方」「外国人の方」をはじめ、さまざまな特性をお持ちのお客さまの、お手続きの不便解消に向けた取り組みを「みんなにやさしい保険アクセス」として展開しています。
今後もLGBTQ+支援団体等、当事者の方の声を伺う機会を設けて、潜在的なニーズを把握し、ご不便解消に向けた新たな取り組みを検討していきたいと思います。
また、窓口に入電があった内容は随時確認をし、不十分な点やお客さまに寄り添っていない対応があれば、直ちに取扱いの見直しや検討を行い、さらなる課題解決に向けて取り組むとともに、全社向けの社内研修等により、LGBTQ+の理解浸透に向けた取り組みを実施していく予定です。
今後も誰一人取り残されることなく安心してお手続きをしていただける環境をめざし、「みんなにやさしい保険アクセス」の取り組みを継続して推進していきます。

インタビュー画像6
インタビュー画像6
来住

ルールを定めるまでさまざまな試行錯誤がありましたが、むしろこれからがスタートだと考えています。現状維持にとどまらず、レベルアップに向けたさまざまな取り組みを進めていく必要があります。今後は、会社全体で仕組みを整備し、ルールを少しずつバージョンアップさせながら、お客さまにより一層ご満足いただけるよう努めていきます。

インタビューを終えて

「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」という前例のない挑戦。当事者の方々のリアルな声を直接聴きながら、応対方法やシステムを迅速に進化させているこの取り組みは、他企業にとっての模範となるだろうと感じました。今後も、当事者の方々にさらに寄り添い、より親身なサポートを提供されることでしょう。

東京都では性的マイノリティの方々が働きやすい職場の環境づくり等の取組
を支援するため、事業者の方へ向けた支援を御用意しております

企業向け支援はこちら 一覧に戻る